開発者インタビュー
SAKURA craft_labの
「新しい懐かしい、をつくる」とは
- マーケティング部
部長 - 今川 清隆
「新しい懐かしい」と「情緒的価値」
SAKURA craft_labに携わっているメンバーが会議中に“情緒的価値”と言葉にするのを聞き、情緒的価値の定義って何だろうと考えました。そのとき僕の頭に浮かんだのは、子どもが「まぁ〜た、いらんもん、買うてきて!」と家で言われることがあるでしょう?あれです。僕はあれが情緒的価値のマックスだと思っているんです。僕なんか典型的で、いらないものしか買わない(笑)
例えば使わない(いや、使えない)けど、持っていたい…と思うスチームパンクな時計、そこにはアーティスティックな世界観があり、自分だけには存在感のあるもの。
「そういうものが欲しい」「そういうものしか欲しくない」人は世の中に何人かいて、我々が作り出すものはそんな人たちに響いてもらいたいし、インスピレーションを与えられたらと思っています。
そういうものが欲しくなる人は世の中に何人かいて、SAKURA
craft_labはそんな方たちに響けば良いなと思っています。人の心に響かせるためには作り手もその感覚になる場を作るというか、インスピレーションを与えることが僕の仕事だと思っています。
「いらない事をする楽しさ」をメンバーに伝えています。
何かが変わる、変えることができる
知り合いに芸大の准教授がいます。当然のごとく感性も豊かで、表現力もあり、それを持って人を魅了する方です。その人に苦心した「001」を進呈したところ「真鍮×染色アクリルですか、新鮮な表現ですね」とだけ…。何か期待した言葉があったわけではないのですが、感想がそれだけだったことに消沈しました。ところがその翌年、「今川さん、これ見てください!」とご自身で作ったとおっしゃる極厚革ケースに発売したばかりの真鍮タイプの「003」が。そしてこれもまた銅を叩いて作ったと言うサックにアルミタイプの「003」が大切に収納されていました。「ペンケースには入れたくない想いで、作ってしまいました。おかげでカバンまで新調してしまいましたよ。(笑)」
「003」を持つことが(003のある空間が)、近くにある空間を変化させたのですね。「003」が准教授の気持ちを誘発し行動させた、「003」のオーラが届いたと確信しました。
SAKURA
craft_labの開発当初の考え方として、「機能性ではなく、情緒的価値を」と置きました。
情緒的価値を感じる瞬間とは「何かが変わる、変えることができる」と感じ取った瞬間であり、同時に玉突きのように「ああしよう、こうしよう」という想いが巡るのではないでしょうか。だから楽しい、だから高揚する、だから手に入れたくなる。人によってその閾値は違いますが、必ず存在し、その起点をたくさん、たくさんモノづくりを通して置いていく事こそSAKURA
craft_lab開発の基軸であると考えています。
わたしのオススメ
「002」のホワイトがモノマニアックにモノへのこだわりを刺激します。
筆記具における白の表現は、樹脂そのものの白か、塗装による白かがこれまでの常識でした。光の全反射で人には白く見えるので、これだとどうしてものっぺり感があり、深みが表現できません。最近では、白い軸色の筆記具を店頭で多数見かけますが、洗濯物が並んでいるようにしか私には見えません。
では、「002」のホワイトは何がいいのか?どこが違うのか?
人の目に見える白のメカニズムが違います。「002」のホワイトを表現する光は、ペンの軸内部の塗装面に反射した光を半透明のアクリルを通して見ているので、まるで中から光っているような錯覚を覚えます。向こう側にある何かの存在を感じさせます。
ちょっと天井を見上げてみてください。LED蛍光灯があれば内部で光っている発光ダイオードが帯状に白く見えているはず。「002」の本体のように見えませんか…ここに気づくと「002」の白さは特別な逸品になるんです。